企画本部 取締役本部長
関 浩幸 氏

　見たいときにファイルを表示できる、必要に応じてカタログや最新資料をダウンロードすることができる―― そんな要望に対しNSWが提案したのはファイル共有サービス「AppNow!(アップナウ)」だった。「AppNow!」は、クラウド上の専用スペースに格納したPDFファイルや動画ファイルをパソコンやタブレット、スマートフォンで表示することができる。電波状態が不安な場所では、一時的にタブレットに資料をダウンロードしておくことも可能だ。また、モバイルデバイス管理ソリューション「NSW-MDM」を同時に導入しても、費用を安く抑えられる点は魅力的だった。「ペーパーレス会議や営業活動の改善を実現できるアプリケーションと、タブレットを管理するMDMをセットで提供してもらえたのは良かった」(関氏)と、その効率性を評価する。

　こうしてアプリケーションが決定し、ペーパーレス会議用にまず20台を展開することになったが、運用開始までには苦労もあった。コンシューマー向けに作られているタブレットを業務用にセットアップすることは想像以上に手強く、多忙な業務の合間を縫いながら「タブレット20台を並べて、とにかく『力仕事』でセッティングをしていった」(企画本部 システム部係長 桐谷正城氏)と、当時を振り返る。初めて操作をする利用者のために事前に会議資料をダウンロードしておいたことも、慌ただしさに輪をかけた要因だった。

　そんな苦労話も今は笑いながら話す。「当初はとりあえず使ってみるだけだったが、今では部署や役職で権限を分けている。部門長会議用資料へのアクセス、カタログへのアクセスと権限を設定しているので、個人ごとに必要な資料を利用することができる」(久田氏)と、社内運用に即した権限設定を行っている。「ダウンロードするより、通信が繋がるところで見た方がセキュリティの面でも良い」(久田氏)と、管理の手間も随分と軽減された。

企画本部
システム部部長代理
久田 剛 氏

　当初はパスワード入力などの操作に抵抗感を持つ利用者もいたが、最近では「『今日はお客様に動画で説明したいから』とタブレットを持っていく」(関氏)と、提案ツールの一つとして社内にもすっかり定着している。「AppNow!」の共有フォルダ上に柔軟にコンテンツを追加・更新できるメリットは大きい。カタログに掲載された二次元バーコードから商品紹介サイトに接続するという、ネット接続を前提としたタブレットならではの使い方もできる。

　まずは活用してもらうことが重要との観点から、エフピコインターパックではタブレット端末の運用管理について、柔軟なルールを適用している。「何も手段がない状況で運用ルールを緩めるのはまずいが、いざというときにMDMで対応できる」(久田氏)と、「AppNow!」と同時に導入した「NSW-MDM」の管理機能についての評価も高い。タブレット端末を積極的に使うことで、「こんなアプリケーションを使いたい」「こんなことはできないか」と業務を活性化させる声が現場から数多く上がることを期待している。

　また会議の場面でも、当初想定していた印刷コストの削減だけではなく、思わぬ効果を得ることもできた。それは「画面表示サイズの調整」だ。従前の売上報告資料は細かい数字が多く、印刷した資料を目で追うこともひと苦労だったが、タブレットではタッチパネルの操作で柔軟に紙面サイズを調整することが出来る事も大きなメリットとなった。